七月一日(金)・2W1H
        お題:大学で・バーコードを・腹筋の要領で
作者:大柳未来




 大学内の購買。ボクは初めてのアルバイトとしてレジに立っていた。
 けど・・・・・・。
「さあ、気合だぁ! 田中、このオレ様が、手取り足取り教えてやるぜ」
 出た。うちの大学名物の筋肉バカだ。この購買でのある意味マスコットとなっているんだが。
「いいか? まずバーコードを読みこませるためにちゃんとリーダーを当てるのだ。うおおお、ふん!」
 ピッ。
「つまり、腕立ての要領なのだ。百円になります!」
「先輩」
 暑苦しいです。ついでに意味不明です。
 初めてのバイトなのに先が思いやられるよ。


 初めてレジに立ってからちょうど二週間が経つ頃だった。
「よし、オレ様は何もしない。一人でやってみろ!」
「はい!」
 まず、バーコードを読みこむ。
「腕立ての要領で!」
 そしてレジ打ち――。
「上腕二等筋をフル稼働! 298円になります!」
 そして商品を渡して。
「ありがとうございました!」
 一礼をする。
「もちろん、腹筋の要領で!」
「合格だァァアア! 田中! 夕日に向かって走るぞ!」
「はい先輩!」
 ――こうして、また一人筋肉バカは増える。この購買最大の魅力はバイトは一人残らず筋肉なのだ。

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