六月二十八日(火)・三題噺
お題:黒・ショートケーキ・浴衣
作者:サボテン
私は黒くなりたい。黒い存在にあこがれを抱くのだ。黒くなりたい。心の全てを黒に染めてやるのだ。ダークヒーローというやつだ。へへっカッコイイ。
しかし、そうするには私の心はあまりに清らかすぎる。黒くしなければならない。まっ黒くろ助よりも黒くしなければならない。
そうなるためには、そうだなぁ、あの浴衣を着たねーちゃんに、ショートケーキでもぶつけるとかかなぁ。
私は純白のドレスに血をしたたらせたような、気味悪さの象徴とも呼べるショートケーキを地味を体現した浴衣に身をつつむ女性に投げつけた。
「そーい!」
私の弾倉はつきていなかった。ハコからさらなるショートケーキを取り出し、再び浴衣女子に投げつける。
しかし、浴衣女子は微笑むばかりだ。なんの抵抗も示さない。微笑むばかりだ。
彼女の心は、その身と同様純白だった。