七月十二日(火)・終わりを決めて書こう
        お題:おれたちの戦いは始まったばかりだ!
作者:竜田




 全日本高校帰宅部夏季大会――。
 俺達は今日という日のために毎日辛い練習を重ねてきた。俺達の高校である「新戸(にぃと)高校」は、毎年上位に残っている。負けるわけにはいかない。部長の名にかけて。
 一回戦の相手は「畑羅家内(はたらかない)高校」だった。
 競技は司会の気分で決められる。今回の競技は「ネトゲでレベル上げ競争」になった。
 使うネトゲは「ブルーストーン」で課金禁止。制限時間は3時間。
 楽勝だった。所詮どこの高校もネトゲ課金厨だ。授業にネトゲを取り入れている我が校に勝てるわけがない。
 二回戦の相手は「美葉(びっぱ)学園」。言わずと知れた強豪だ
 競技種目も苛酷なものであった。「ポケモンフラッシュ耐久レース」だ。全国の子供たちを癲癇に陥れたこの悪魔と人間は何時間対峙できるのか――。
 戦いは三日三晩続いた。このまま永遠に続くかと思われたとき、戦いに終止符を打ったのは美葉学園のエース、八流時八流夫(やるときやるお)が椅子から落ちた音だった。
 だが、喜びもつかの間であった。我が校の主将である警備院自宅郎(けいびいんじたくろう)がポケモンフラッシュに倒れたのである。俺は駆け寄った。
「警備院、おい、警備院。しっかりしろ。お前が倒れたらこの先戦いは――」
「甘えんな」
 警備院は俺を一喝した。
「お前だって新戸高校の代表だろ。帰宅部部長の名に恥じない戦いをしてこい。任せたぞ」
「警備院・・・・・・」
 そうだ。俺は警備院に頼りすぎていた。部員を引っ張っていくのは俺だ。
 俺は救急車に運ばれていく警備院に向かって言った。
「後は任せろ」
 おれたちのたたかいはまだ始まったばかりだ!

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