FLY AWAY
みいあ




 キィィィン――

 あ、この音は。

 尚子は話を途中で打ち切って空を見上げた。

「やった、9機目♪」

「いきなり静かになるからどうしたのかと思ったら……、アンタまだやってるの、それ」

 親友の響子が呆れた顔で言った。

「大体、飛行機を10機見るだけで恋が本当に叶うなら、皆とっくにやってるって」

「見るだけ――って、結構コレ大変なんだよぅ。途中でヘリ見たら最初からやり直しだし!」

 力説する尚子を尻目に、響子は首を振り、

「アンタ、まさかマジで信じてたりしないよね?」

 尚子はグッと詰まり、

「い、いや……そりゃ、真剣には信じてないけど」

 それでも。

 これは、自分との約束。

 一種のおまじない。

 自分に勇気を与えるための――あの人に告白するための。

 あと1機で、あの人に「好きです」って言えるようになれる。



 この青い空に、幸せの白くて大きな鳥が飛んでくる。



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