初級日常会話
星村まゆみ








ゆかりの疑問



ゆかり「きょーこちゃん、きょーこちゃん聞いて!」

響子 「どしたの、ゆかり。コーフンしすぎ」

ゆかり「あのさぁ、あのさぁ!」

響子 「だから何」

ゆかり「水煮ってナニ!?」

響子 「……は?」

ゆかり「ちょっと水煮の定義教えてよ」

響子 「はぁ?……野菜の缶詰とか? 水で煮るんじゃないの?」

ゆかり「そこ!水で煮るんだよ、水で。どうやって!」

響子 「……うーん、確かに」

ゆかり「日本語ってオカシイネー」

響子 「なんで水煮……」

吉乃 「おまえらバカ?」

ゆかり「あっ、センパイー」

吉乃 「くだらねーこと話してんなー。そんなの、煮始めは水だから水煮なんだろ」

ゆかり「あぁー! さすがセンパイ!」

響子 「なるほど……」

吉乃 「………。ナニ納得してんだよ。ウソだよ、冗談。知るかよ」

ゆかり「えぇぇっ、センパイのいじわるーっ」

響子 「え、水から煮れば水煮じゃないの?」

ゆかり「だって響子ちゃん、そしたら世の煮物は全て水煮だわ!」

響子 「ああ、だからか!」

吉乃 「………おまえら、平和でいいよな」









いわゆる「アウトオブ眼中」



郁子 「今日の部会の議題は、合宿ってことにして、みんなで海にでも行きましょうかって話なんだけど」

ゆかり「賛成! 水着買いに行かなきゃ」

響子 「私も新しいの買おっかなー」

ゆかり「今、丸井でセール中よ! 響子ちゃんはビキニ買うよね!」

響子 「絶、対、ヤダ」

ゆかり「そんなきっぱり言わなくったって。しょうがないなぁ、じゃ、おそろいでタンキニ買お」

響子 「うーん、それなら」

ゆかり「決定〜! センパイは当然ビキニですよね!」

郁子 「あら、私はワンピースしか持ってないわよ」

ゆかり「ええええ! センパイDカップあるじゃないですか、勿体ない!」

郁子 「だからイヤなのよ」

ゆかり「えぇー! 見応えあるのに。センパイのビキニ見たい〜」

郁子 「そうねぇ、ゆかりちゃんもビキニ着るんなら考えてもいいわよ」

ゆかり「えっ、でもあたしBだしなぁ。そうか、響子ちゃんもビキニにすればいいんだ! だったら買う〜」

響子 「なんでそうなるのよ!私Aだし!」

ゆかり「ええ、うっそ、そんなことないよー。ちょっと見せて」

響子 「ちょっと、やめなさいってば」

ゆかり「えー、コレBでもいけるって。てか、この下着かわいー。どこで買ったのー」

響子 「おだててもビキニは着ないからね!」

郁子 「あら、じゃ、私もワンピース決定ね」



雅美 「……柾先輩。俺らって、女子たちの目に入ってないんですかね」

柾  「言うな。あいつらの中じゃ俺達は空気と同じだって、再確認するだけだから」



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