Tokyo N◎VA The Detonation 「A thistle」



Endin`1  帰還
SP:綾部トキ
シーンタロット:踏鞴(正) 隠された知識

休暇を終えたトキは、和泉大佐に呼びだされた。
その前でトキは敬礼をして直立不動していた。
そして、報告をしようとしたトキの言葉を遮り、和泉大佐は眉を顰めるのだった。


RL:「報告? なんのことだ? キミは休暇中だろう。休暇中の隊員のことまで私は管理はしない。プライベートなことだからな」

綾部トキ:「ハッ。そうですか」

RL:「綾部曹長」

綾部トキ:「ハッ」

RL:「キミには今から、任務に戻ってもらう。残念なことだが、一時期キミのウォーカーに違法な改造が成され、さらにそれが強奪されるという事件があった」

綾部トキ:「うーむ。それは許せませんなぁ。一体整備班はなにをしていたんだ」さもそうでもないような顔をしておく。

RL:「キミのウォーカーは既に回収されており、違法な改造も修繕されているが、未だに犯人が不明だ」

綾部トキ:「その犯人はおそらく相当なやり手でしょうね」

RL:「この事件について追捜査を行うこと。ただし、期限は2週間だ。それ以上かかるようであれば、後方部隊に処理を任せる」握りつぶすってことだ。

綾部トキ:マジですか? 「は、はぁ……。なるほど。つまり結局は、N◎VAは最後まで守られたということですね?」

RL:「なんの話だ?」

綾部トキ:「いえ、今回の話、日本軍が警備に過敏になっていたら、また違う結果になっていたと思いまして」

RL:「日本軍が進駐することはないだろう。何故ならば、我々が既にN◎VA防衛のために出張しているのだからな」

綾部トキ:「それにしても、N◎VA軍の緩慢さ。まるで情報がどこかで握り潰されていたかのような、むしろ、動くなと命令が会ったかのような動き。さて、どこからそのような要請があったのでしょう?」

RL:「何を言っているのだ、キミは。軍人は急務でなければ動かない。無闇に市民の不安を煽るということになるのだよ。我々が動くということはな」

綾部トキ:「そうですね。なにはともあれ、N◎VAの市民は守られたということですね」

RL:「キミが一体何のことを言っているのかは分からんが、N◎VAは今日も平和だ。あの司政官がウェットシティに出てくるくらいにはな」

綾部トキ:フフッと笑う。「しかし、私達もあの司政官を守っていると言われると少しやる気を削がれますね」

RL:「全くだ。下がりたまえ、綾部トキ曹長」

綾部トキ:「ハッ、ありがとうございました!」深々と頭を下げる。

RL:「さて、なんのことやら」

綾部トキ:「では、“Colorless flash”綾部トキ曹長、任務に戻ります」と言って部屋を後にする。









Endin`2  Have a nice life
SP:道杓
シーンタロット:蛭子(正) 夜明け

M.A.D.モーターズ。そこは木更津タタラ街に存在する小さなバイク屋。たまたまそこを通りかかった杓とアザミだったが、アザミはディスプレイ展示をされているヴィークルを見た瞬間に、ガラス窓にへばりついた。


RL:「たあ、あれー」

道杓:「ん、なに?」

RL:「はやそう」

道杓:値段ってどうなってます?

RL:MGウルフ――それは完璧なるオーダーメイドによって製作されるヴィークルだ。常人に手が伸ばせるものではない。

道杓:「こ、これはやめたほうがいいんじゃないかな?」

RL:「たあ……」

道杓:ええー。

RL:「うー。じゃ、あっちー」と言って今度はレーシング用のヴィークルを指差して「すっごいはやそう、あれー!」

道杓:「あれは絶対ダメ」

RL:「ぶー」とアザミは頬を膨らませる。

道杓:「もうちょっと大きくなってからね」

RL:「おっきくして。たあ、できるでしょ。おっきくして」

道杓:「もうちょっと時間が経ってからね」と言い直します。

RL:「うー」と唸る。「たあのケチ」

道杓:「他のじゃダメ?」

RL:「他の?」と言って指差すのは、レーシング用や軍用など、変なというか、速いというか、高価なものばかり。

道杓:普通のやつを指して、「あれとかは?」

RL:「遅そう、やだ。ヴィークルはびゅんって走るからいいんだよ、びゅんって!」

道杓:ため息をついて、「今度、“渡し屋”さんと一緒に乗ろうね」

RL:「ほんと?」

道杓:「ああ、頼んでみるよ」

RL:「やったー! うれしい! たあ、とってもうれしい! たあは、うれしい?」

道杓:「ああ、嬉しいよ」と目を泳がせます。

RL:「たあがこっち見てくれないー。つまんないー」

道杓:「はぁ、アザミって幸せだよね」

RL:「しあわせ? しあわせってなあに?」

道杓:「んー? アザミ、今、楽しい?」

RL:「うん、たあといて、楽しいし嬉しい!」

道杓:「それが幸せっていうことだよ」

RL:「じゃあ、わたししあわせー!」とアザミは満面の笑みを浮かべる。そして杓に向かって訊き返してくる。「たあは、しあわせ?」

道杓:「幸せだよ」そう言って、やっと少し頬笑みを浮かべます。そしてアザミの頭をぽんぽんと撫でます。

――Tokyo N◎VA The Detonation 「A thistle」
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