Tokyo N◎VA The Detonation 「A thistle」
Climax1 激突
SP:綾部トキ
シーンタロット:犬(逆) 別離
ローザの全速を以て、衛星軌道上へ辿り着いた。
まだN◎VA宇宙軍は迎撃態勢を整えていないらしく、周囲にはその姿は見えない。
だが、一機のヴィークルがそこに迫っていた。それと同じように、モニター上では『A thistle』のアイコンがローザに近づいてきている。
綾部トキ:間に合った。宇宙軍はまだ動いていない。「タオ、準備はいいか?」アザミとの通信を開こう。
道杓:「アザミ! アザミなのか!?」
RL:「だれ?」と無機質な声が返ってくる。
綾部トキ:AI特有の耳に障る声だ。この声、気に入らないぜ。
道杓:絶望した顔で、「そうか」と言う。これ、もう確定か。「いいさ。思い出させてあげるからね」
綾部トキ:「いいのか、タオ? この状況では一度あれを潰すことが最善の方法だ。アザミの顔をした奴を潰すんだぞ、いいのか?」
道杓:しばし沈黙した後「でも仕方がないんだ!」と掠れた声で叫びます。
綾部トキ:「そう、だな」と呟く。
RL:ところで、アザミの花言葉は『触れないで』と『反逆』なんだ。
綾部トキ:ほぉ。
RL:「わたしに触れないで……。わたしは、おとうさんを殺した、いちゃいけないものだから――」それだけ言って、プツン、と回線が切られる。
道杓:「アザミ! アザミ!?」
綾部トキ:そういうこと言うか。
RL:では、カット進行に入るよ。
現在位置関係
(アザミ)( )(トキ・杓)
今の位置関係は、こんな感じだ。( )一つが一段階の距離――つまり、アザミと二人は中距離に離れている。
この後、アザミが一度二人に接近した後に、さらに5段階距離を離されると、アザミは二人を引き離して地球へ降下する。
綾部トキ:チェイスという判断でいいのかな?
RL:その通り。カット進行はチェイスだ。
綾部トキ:今は地球に向かって、宇宙軍をすり抜けて行ってるのか。
RL:宇宙軍は1カット終了する毎に出てくる。
綾部トキ:出てくるのか!?
道杓:勝利条件は?
綾部トキ:アザミを撃墜すればいいのか?
RL:勝利条件はヴィークルを破壊すること。では、
アクションランクを宣言して
プロットして。アザミは3枚プロットする。
綾部トキ:こちらは二人とも2枚だ。
RL:全員セットアップにやることはないね。
位置確認
(アザミ)( )(トキ・杓)
行動確認
綾部トキ2→道杓2
アザミ3
RL:では、アザミから。
マイナーアクションはなし。
メジャーの組み合わせは〈電脳〉+〈操縦〉+〈射撃〉+
〈ドミネート〉+
〈死点撃ち〉でローザに対して、移動しながら
灼光を射撃する。達成値はダイヤのAで22だ。
綾部トキ:これはオレが〈操縦〉で避ければいいんだな。
リアクションする。マイナーをスリーアクションで3回に増やして、
Lightningと
ターボユニットを起動する。〈操縦〉+
〈ドッジ〉+
〈ジャックナイフ〉だ。達成値はダイヤのクイーンで39だ。
RL:通常、ロックオンからの初撃は避けられないものと言われている。だが、ローザの機動力、そしてトキの操縦のテクニックはそれを可能にした。
位置確認
(アザミ)( )(トキ・杓)
行動確認
綾部トキ1→道杓2
アザミ2
綾部トキ:〈ジャックナイフ〉で追加行動だ。「残念だが、その弾はローザには止まって見える!」とりあえず詰めるか。〈操縦〉で達成値は、速度も足して35だ。
RL:こちらはリアクションしないので、距離は近距離になる。
位置確認
(アザミ)(トキ・杓)
行動確認
綾部トキ1→道杓2
アザミ2
RL:次の行動はアクションランク2の杓。
道杓:ヴィークルに攻撃します。メジャーアクションで〈電脳〉+〈製作:サイバーウェア〉+
〈虫使い〉+
〈パワーサージ〉で、達成値は【理性】の22。
RL:【理性】の22か。〈電脳〉+〈操縦〉+〈ポルターガイスト〉でヴィークルを操って無理矢理避ける。スペードのキングを出して、達成値は23。これでアクションランクが1になった。
位置確認
(アザミ)(トキ・杓)
行動確認
綾部トキ1→道杓1
アザミ1
RL:トキの手番だ。
綾部トキ:タオもやってくれるぜ。移動してから
車両攻撃でぶつかる。マイナーアクションで〈スピードスター〉を使用する。メジャーは〈操縦〉だけ。達成値はハートの10を出して55点だ。「見せてやるぜ、Colorless flash――見えない閃光だ」
RL:そちらに対応するように、こちらが《不可知》を使用。
綾部トキ:なに!?
RL:〈電脳〉+〈操縦〉+〈ドミネート〉+〈死点撃ち〉でこちらも車両攻撃だ。達成値は43だ。
綾部トキ:やってくれるぜ。《脱出》で避ける!
アザミの機体も、ローザと同じように一瞬消えた。
掠めるように、亜光速空間で二つのヴィークルがぶつかり合う。
一般相対性理論により、E=mc2――速度はエネルギーへと変換される。
その結果、よりエネルギーが大きかったのは、Colorless flashの方だった。
通常速度に戻り、元のまま生還したのは、ローザ。
RL:そっちの達成値は55か。差分値は46。
綾部トキ:ダメージは65の爆。
RL:防御力を引いても56だ。ヴィークルが全壊する。そして、その中から、幼いアザミの姿が宇宙空間に放り出される。そして、その瞳が開く。
綾部トキ:「なにをする気だ!? この勝負こちらの勝ちのはず――!?」
RL:《電脳神》を使用して、ローザをハッキングする。ローザのデータが次々と消失していく。
綾部トキ:どういうことだ!?
RL:このままいけば、ローザは宇宙空間で孤島となってしまうだろう。さらにアザミは《脱出》を使用する。アザミのウェブゴーストはそのプログラムに従い、オービタルベースに帰還した。
綾部トキ:今までと同じように、電子情報になって戻ったというわけか。「クソッ! どういうことだ!?」
RL:プログラムが次々と沈黙していく。
綾部トキ:「オレのローザが動かなくなっていく!?」
RL:まずは制御用のスラスターが停止し、機体が回転する。次に各部に流れていたエネルギーが停止して、手足が動かなくなっていく。
綾部トキ:操縦桿をいじっても動かなくなるのか。「チッ、手も動かなくなっちまった」
RL:そしてカメラアイも落ち、モニターは暗闇しか映さなくなった。
綾部トキ:「クソッ! クソッ! どういうことだ!?」
道杓:「ま、まさかハッキング?」
綾部トキ:「アイツ、最後にローザのAIを潰したということか! ここまで来て、宇宙に放り出されるなんて――。クソッ!」あまりの悔しさに涙を流す。ここで《完全偽装》を使用する。「クソッ!」とモニターを叩いて「なぜだ、なぜ、オレはこんなにローザを大事にしていたのに! 死んでしまうのか、オレのAI――」と呟く。
N◎VA軍でまだ採用されていない、試験的なバックアップシステムがローザには搭載されていた。一旦、仮死状態にまで陥ったシステムは、そのバックアップシステムによって一気に息を吹き返した。それはあたかも、生き物が冬眠という仮死状態になり、細胞をリフレッシュさせたかのようだった。
綾部トキ:オレはバックアップのことは知らないから、奇跡だと思い込む。「なに? 息が戻った? ローザの息が戻ったぞ! まさか、こんなことが起きるなんてな。だが、今の動力では――」
道杓:「頼むトキ! 今だけなんだ! 今から追えないか!?」
綾部トキ:「そんなに時間がないのか!?」
道杓:「わからない。けど、急いだほうがいい気がするんだ!」《プリーズ!》をトキの《脱出》に使います!
綾部トキ:「そうか、急ぐぞ! 掴まっておけ!」と言って亜光速移動をする。
ローザの姿が陽炎のように揺らめき、消えた。
そして、遅れてやってきた宇宙軍は、その場に破壊されたヴィークルの他になにもないことに、首を傾げるのだった。
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