Tokyo N◎VA The Detonation 「A thistle」



Research6  I am happy!
SP:道杓
シーンタロット:新生路(正) 絶頂

タララ街からアサクサのウェンズシティ・マーケットまで足を伸ばした杓とアザミ。今日は、アザミのために服を買いに来たのだ。今は、アサクサまで走るリニアに乗っている。そしてアザミはリニアにも目を爛々と輝かせていた。
ほどなくしてリニアが目的の駅に着くと、アザミは不満そうに杓の顔を見ていた。


道杓:「はい、じゃここで降りるよ」

RL:「えー」とアザミは物凄く嫌そうな顔をする。

道杓:「また後でもう一回乗れるよ」

RL:「ほんとに? ぜったい?」

道杓:「ああ、もちろん」

RL:「じゃあ、降りるー」

道杓:はい。

RL:N◎VAウェンズシティ・マーケット――そこはアサクサ最大のショッピングモール。各種商店を始めとして映画館、ゲームセンター、レストランなどもテナントに入っている。

道杓:すごーい!

RL:毎週水曜日には必ずイベントが組まれており、家族連れや恋人達で賑わう。そんなここに来れば、N◎VAにあるもので買えないものはない、とまで言われる場所に二人は来ている。

道杓:うわー。絶対マズイ気がする。

RL:そして、人ごみがごった返すショッピングモールの中で、アザミは懸命に杓の陰に隠れようとした。

道杓:あれ?

RL:「人がいっぱい……人がいっぱい……!」

道杓:「ああ、迷わないように、ほら、手繋いで」

RL:その手をありえないくらいに、アザミは強く握る。

道杓:うっ。「痛い――」思わず声をもらします。

RL:「あ、い、いたい?」

道杓:「もうちょっと力、弱められないかな?」

RL:ゆっくりと力は弱まるも、それでもまだがっちりと握られている。

道杓:ちょっと痛そうにしながらも、歩き出します。

RL:アザミは杓に手を引かれながら子供用衣料店に足を踏み入れた。「いらっしゃいませ」と店員ドロイドが二人を招き入れてくれる。

道杓:「この子に似合いそうな服を探しているんですけど」

RL:「愛らしいお嬢さんですね。では、こちらへ」と店員ドロイドは二人を案内してくれる。

道杓:アザミのほうを向いて「どんな服が好き?」と訊いてみます。

RL:アザミはこてんと首を傾げる。「なんでもいい」

道杓:「じゃ、好きな色ある?」

RL:「好きな色?」

道杓:近くにあるピンクの服や白い服を指して「こういう服が着たいとかある?」と訊いてみます。

RL:アザミはゆっくりと、水色の服を指差す。「速そう、あれ!」

道杓:ああ……。その服を取って「試着って出来ますか?」と店員さんに訊きます。

RL:「あちらでどうぞ」と試着コーナーに手を差し伸べてくれる。

道杓:「ああ、どうも」と言って試着コーナーに向かいます。

綾部トキ:ドロイドに丁寧だな。

道杓:試着室の一室にアザミのくつを脱がして、服を押し出して「これ、一人で着れる?」と訊いてみます。一応、念のため。

RL:「どうやって着るの?」と返される。

道杓:だよねー。どうしたほうがいいんですかね。

綾部トキ:ここで説明したら、この場で脱ぎだしそうなアザミが怖い。

道杓:そうなんですよね。え? えー?

綾部トキ:服を持ってあたふたする杓。

RL:アザミは不思議そうな顔で杓を見ている。そうこうしている間に、店員ドロイドが「いかがなさいましたか?」と訊ねに来る。

道杓:店員さんに「この子に服の着方を教えてくれませんか?」と頼みます。

RL:「ああ、はい、わかりました。では、こちらへどうぞ」と言って少し広めのカーテンの中にアザミと一緒に入っていく。

道杓:ああ、よかった。

RL:「着替えたー」10分も待たされた後に、アザミが出てきた。

道杓:「ああ、すごい似合ってるね」

RL:「お買い上げなさいますか?」と店員ドロイドは杓に訊く。

道杓:「はい、じゃ、買います」

RL:「お買い上げありがとうございます」杓のIANUSから現金が差し引かれる。「では、失礼します」と店員ドロイドは下がる。すると、アザミが「たあ、わたし、速そう? 速そう?」と訊いてくる。

道杓:戸惑いながら、「う、うん。速そうだよ」と一応どぎまきと答えます。「他の服もほしい?」と訊いてみます。でも、そうなってくるとどんどん大変なことに……。水色の服ばっかりそろっちゃいますよ。

RL:「じゃ、あれー」と今度は水色の男の子もののジャケットを指したり、それがダメだと分かるや否や「あれー」と水色のハンカチを指してみたり――。

道杓:ああ、なんてことだ……。でも家にそんなに女の子用の服もないだろうし、とりあえず希望を聞きつつも黒とかも買ってみます。

RL:それは「黒ー……」と暗い顔をして「はい」と杓に手渡す。

道杓:買った服は郵送してもらいます。

RL:「服いっぱい買ったー」

道杓:「そうだね。他になにか買うものあったっけ?」

RL:「晩ごはん」

道杓:あ、そっか。晩ご飯。まぁ、ここで外食していってもいいんですけどね。

綾部トキ:ヴィークルは買わないのか?

道杓:ああ! いやいや。「たまには外食しようか」って訊いてみます。

RL:「がいしょく?」

道杓:「ボク以外のもっと料理の上手い人が作った料理を食べようってこと」

RL:「たあよりもおいしい料理があるの?」

道杓:「うん、たくさんあるんだよ」

RL:「じゃあ、食べるー」

道杓:「よし、じゃあ、探してみるか」上の階にずんずん行ってみます。

RL:「たあ、これ!」と言って、アザミはリニアの模型が料理を運んでくれる店に釘付けになる。

道杓:ああ……。

RL:「走る、走るー! たあ、たあ!」とアザミは必死に杓を呼ぶ。見ると、ハンバーグの店らしい。「たあ、リニアが運んでくれるのー」

道杓:「どうする? ここにする?」

RL:「ここがいいー!」

道杓:じゃ、そこに入ります。

RL:出てきたハンバーグを食べながら、アザミは「おいしー!」と満面の笑みを杓に向ける。「たあ、おいしいよ、これー」とフォークを杓の方に突き指してくる。

道杓:危ない、危ない! 「そ、そうだね。あんまりそういうものを持ってる時に人に向けてはいけないよ」

RL:アザミはザクッとハンバーグを刺して「たあ、ほらー」とフォークを向けてくる。

綾部トキ:ソースがビタビタ下に落ちているんだな。

道杓:うわー。えっと、こ、これは……。

RL:「あーん」

道杓:やっぱりだー! 「え? ああ、くれるの?」ど、どうしようかな?

RL:「あーん」

道杓:ええー!? 「あ、あーん」

RL:「はい、口をもぐもぐして」

道杓:「う、うん」

RL:「のみこんで」

道杓:すごい顔を真赤にさせながら、「ありがとう」と言います。

RL:「もっと食べたい?」

道杓:めちゃめちゃ困る質問ですね!

RL:「もう一度食べたいー?」とアザミは何度も何度も訊いてくる。

道杓:観念して「う、うん」と頷きます。

RL:「じゃ、おいしいんだね! はい!」とアザミは再びハンバーグを突き出す。

道杓:ええー!?

綾部トキ:なんで自分で食べれると言わなかった。

道杓:ほんとだ!? その手があった! テンパっててそれどころじゃないですよ!

RL:「はい、あーん」

道杓:フォークを自分で取って、グイグイやります。

RL:「……とるの?」

道杓:………………。

RL:「たあ、とるの?」とアザミは寂しそうな目を杓に向ける。

道杓:なんでこういうのに弱いんだ。「あ、あーん」と仕方なく。

RL:「はーい!」と嬉しそうにアザミは杓にハンバーグを差し出した。杓の顔は沈んでいく夕日よりも赤かった。



舞台裏

綾部トキ:幸せそうにやってくれてるじゃないか。襲撃者の現在地を調べる。社会技能はなにでいける?

RL:N◎VA、ストリート、企業。

綾部トキ:〈社会:軍事〉で代用判定する。Aで21だ。

RL:では、〈隠密〉の山引き判定。ジョーカーで21。

綾部トキ:ええ!?

RL:リアクションに成功したので、何もわからない。

綾部トキ:だが、何者かの作為が見えるな。こっちもAを出したっていうのに。バカ野郎。









Research7  追跡
SP:綾部トキ
シーンタロット:刀(逆) 自信の喪失

襲撃者の足取りを取ろうとしたトキだったが、ウェブは情報が混迷しており、ストリートのニューロに追跡は不可能だった。
「どういうことだ!?」
苛立たしげに叫ぶトキに、情報屋は、そんな事件は起きていないと返す。どうやら、N◎VA軍の情報操作によって、ウェブが使えないようだ。
散々言い争った後に、トキは情報屋から出ていった。


綾部トキ:情報屋の部屋を出ていく。「チクショウが」

RL:「一昨日来やがれ!」

綾部トキ:「二度と来るかよ!」やはり、オレはオレの腕で調べるしかないか。情報屋を出て自分の足で調べる。〈社会:N◎VA〉で襲撃者の現在地を調べる。【外界】の17だ。

RL:リアクションで〈電脳〉+〈隠密〉。ダイヤの2でスート合わず失敗だな。襲撃者の現在地だが、木更津タタラ街にいる全身義体技師の家で似た人物がいた、ととあるカゼが教えてくれた。

綾部トキ:「本当にこの写真にそっくりだったんだな?」

RL:「ああ、似てた似てた。もう困っちまうぜ。ヴィークル倒すわ、なんやかんやするわ」

綾部トキ:「ヴィークルを倒すだと?」

RL:「ああ。まったくよ――」

綾部トキ:そのタタラの家のアドレスは貰える?

RL:どうぞ。「ま、話聞いてみたら? 別人でもオレは責任取れないけどね。じゃ、急いでるからもう行くよ」

綾部トキ:「おう。すまねぇな」木更津タタラ街か。「AIが逃げ込むにはちょうどいいって感じか。追い詰めたぜ」

RL:やっと手掛かりを掴んだトキ。その足は自然と木更津タタラ街へと向いていった。



舞台裏

道杓:これは調べられないですね。カードを回します。









Research8  bye-bye
SP:道杓
シーンタロット:平威徒(逆)偏見

アザミが来てからかれこれ一週間が経った。アザミも随分と知識を蓄え、最近はよく工房の中で全身義体を見るようになっていた。


綾部トキ:よし、出よう。〈社会:N◎VA〉で17だ。確か場所は家だな。ブザーを鳴らそう。

RL:「オ客サンダヨ、オ客サンダヨ」とDAKが鳴き喚く。

道杓:「はいはーい。今行きまーす」と玄関に向かいます。

綾部トキ:そこには男が立っている。身長差はジャスト10cmだ。そして、出てきた相手の顔を見てハッとしよう。「道杓、か……。アンタの所だったのか」

道杓:「え? なにがです?」

綾部トキ:「いや、改めて自己紹介しよう。オレはN◎VA軍の綾部トキだ」

道杓:「綾部……?」聞いたことがあるよ。「ああ、あのエース? もしかして?」

綾部トキ:「まぁ、そうだな。アンタもよく同僚が世話になってるって聞くぜ」

道杓:「ああ、まぁ、確かに、たまにだけど」

綾部トキ:「で、訊きたいことがあるんだが」

道杓:「なんだい?」

綾部トキ:「アンタ、この顔に覚えがあるだろう?」と言って、スッとローザのホロを見せる。タオに見覚えはあるのか?

道杓:いいんですよね、きっと?

RL:その写真の人物をすっごく幼くしたようなのが、家の中に転がりこんでいる。

道杓:「ああ、まぁ……」

綾部トキ:「見覚えがあるだろう?」軽く睨みつける。

道杓:「この人はないけど……、この人を子供にしたような人間だったら確かに見覚えはなくはないわけじゃないけど――」言葉を変に濁します。

綾部トキ:「あるんだな」

道杓:「あると言えば、あるの……ですかね?」

綾部トキ:「そうか」ここはもう強行的に行くか? 「そいつに会わせてもらいたい」

RL:……〈電脳〉+〈隠密〉でスート合わず失敗。

道杓:うん?

綾部トキ:なにをしている?

道杓:アザミ?

RL:どこかで、ガタン! と音がした。

道杓:やっぱり……。

綾部トキ:「ん? 今のは?」

道杓:「ああ、今のは同居人が、たぶん転んだんでしょう」

綾部トキ:「同居人の――少女なんだろ?」

道杓:そこまで調べがついているだって。ちょっと驚いたように「ええ、そうですけど……なんでそんなことまで知っているんですか?」とかなり怪訝そうに見ます。

綾部トキ:「一般市民には関係のないことさ。会わせていただきたい」

道杓:カチンと来ます。「もう少し言い方というものがあるんじゃないですか?」

綾部トキ:え? って顔をする。「そ、そいつと会いたいんだ……少し会わせてくれないか?」棒読みだが。

道杓:少し拍子抜けしたような感じで「まぁ、いいけど」と言ってとりあえず中にあげます。

綾部トキ:お、中に入れてもらった。

道杓:まだボクは隠すべきものと思ってませんから。とりあえず座らせます。「こちらへどうぞ。お茶でいいですか?」

綾部トキ:「いや、一刻も早く少女に会わせてもらいたい」

道杓:「ああ、そうですか。アザミ? アザミー?」と呼んでみます。

RL:返事はない。

道杓:うわぁ。「あれ? どうしたんだろ?」と言いながら、工房の方に向かいます。

綾部トキ:向かったんなら、オレも立って後ろを付けていこう。不審げな顔をして。

道杓:「アザミー? アザミ、どこにいるんだい?」

RL:義体の中に埋もれている。

道杓:ええー!?

RL:隠れようとしているようにも見えるが、全然隠れられていない。

道杓:「アザミ、なにしてるんだい?」

RL:アザミはいやいやと首を振って抵抗する。

道杓:首を傾げます。

綾部トキ:さて、そろそろ部屋に入ろうかな。「ほぉ、全身義体の技師の部屋というのはこういうものなのか」

道杓:「ええ、そうですね。まだ完成してないものもありますが」

綾部トキ:アザミはいるんだな? なら目を合わせる。

RL:トキの顔を見た瞬間、目を見開くアザミ。

綾部トキ:「見つけたぞ」

RL:ハッと息を飲み、彼女はアウトロンした。途端に力を失い、瞳から輝きも失う義体。それが未完成のものに埋もれたまま、沈んでいった。

綾部トキ:くっ! 「逃がさん!」だが、〈電脳〉技能は持っていない。「チッ、ド素人にはなにもできないか!」

道杓:「アザミ!? アザミ、どうしたんだ!?」アザミに駆けよって、肩を揺さぶります。

RL:返答は全くない。それはただの義体に戻ったようだ。心“Ghost“はその中に入っていない。

綾部トキ:「クッ――。逃がしちまったか」オレは立ちあがる。「タオくん、キミに詳しい話を聞きたい」

道杓:「ええ、はい。こっちからも訊きたいことがあるような、ないような気もしますし」

綾部トキ:とりあえず、なにを訊けばいいのか……。

RL:なら、一旦シーンを切ろうか。アザミの心“Ghost”を失った全身義体は硝子のような瞳で二人の方を見つめていた。





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