Tokyo N◎VA The Detonation 「A thistle」



Research9  I am left
SP:道杓
シーンタロット:影(正) 過去を切り捨て、未来に目を向ける

RL:状況から見て、トキも自動登場で。さっきのシーンの続きだ。

綾部トキ:こちらから訊こう。「アンタとその少女の義体、一体どんな関係があるんだ?」

道杓:「ああ、偶然ウェブで設計図を見つけて興味本位で造ってみたんだ。そしたら造られてしばらく経ってから、突然動き出したんだ」

RL:そう。かれこれ一週間前に。

綾部トキ:「全身義体を造ったのは、誰かの指図か?」

道杓:「いや、ただの、思わず義体師としての本能というか?」

綾部トキ:「そんなもんで全身義体を造るもんかね?」

道杓:「ちょうど仕事がなくて暇だったんだ」

綾部トキ:「その話、本当なんだろうな?」

道杓:「ああ、本当だよ」

綾部トキ:では、ジッとタオの目を見る。「なんだ。ただ巻き込まれただけってことか」これ以上訊くこともないな。

道杓:そうですよね。じゃ、こっちからいいですか。「あの子、どうかしたんですか?」

綾部トキ:それには溜め息を吐いて、「アンタはあの少女についてなにも知らないのか? なにも聞いていないのか?」

道杓:「ええ、自分の記憶にプロテクトをかけているようで、なにも聞き出せなかったんだ」

綾部トキ:プロテクトか……。「なるほど。そうかい」これは、知らない方が身のためだぜ、というしかないな。

RL:トキが言葉を詰まらせた時、DAKがまた来訪者を告げる。

綾部トキ:「誰か来たようだぜ」

道杓:「ああ、すまない、ちょっとだけ」と言って玄関のドアを開けます。

RL:「こんにちは、道杓。僕の名前は天津御中。キミに訊きたいことがある。そして知ってもらいたいことがある。上がらせてもらってもいいかな?」

綾部トキ:タオの後ろから声をかけよう。「アンタは」

RL:「やっぱりいたのかい、綾部曹長」

道杓:「し、知り合い?」

綾部トキ:「なんでアンタがこんな所に?」

RL:「依頼された情報を探すために」

綾部トキ:「ああ、そうか」ちょっと笑って、また中に入っていく。

RL:「上がらしてもらってもいいかな?」と改めて御中は杓に訊く。

道杓:「ええ、どうぞ」

RL:「どうも。さて、と」

綾部トキ:「で? 一体なにをお知らせしてくれるのかな? フェイトさんは」壁にもたれかかって聞いておこう。

RL:「とりあえず」と言って御中はDAKを操作する。「綾部曹長は分かるんじゃないかな?」と言いながら、アザミの行動の映像を引き出す。

綾部トキ:ふむ。

RL:「挙動は一部、軍事用制御AI――しかも戦闘用義体に用いられるものに似てないかい?」

綾部トキ:では、じーっと映像を見て、「確かにな」わかるんだろ? 「コイツはただの愛玩用の全身義体ってわけじゃないぜ」

RL:「オペレーション・ミーティアストリーム。過去に日本軍が計画していた作戦だよ。今回の事件、このオペレーション・ミーティアストリームに似通っている」

綾部トキ:日本軍だと? だが、日本軍は今回の事件で襲われている。どういうことだ? 一体オペレーション・ミーティアストリームとはなんなんだ?

RL:御中のコネ判定、もしくは情報収集を。

綾部トキ:なるほど。〈社会:軍事〉で15だ。オペレーション・ミーティアストリームとはなんだ?

RL:流星群作戦。衛星軌道上から地上に向けて超長距離射撃を行いつつ、地球へ降下して混乱している地上を制圧するという作戦。しかし、超長距離射撃や降下突撃が困難なため、実行されなかった。

綾部トキ:なるほど、技術面がなかった、と。

RL:だが、その作戦を実現させるために、専用のヴィークルとAIを投入するという提案もなされた。また、地上制圧に関してはヴィークルを破棄し、全身義体によって行うことになっている。
この作戦は本来日本に敵対するヴィル・ヌーヴや北米連合を対象にしたものであるが、今回の対象は明らかに日本である。

綾部トキ:「オペレーション・ミーティアストリーム……もとは技術面から不可能だった作戦なのに、なぜだ? なぜ、また……。しかも、日本が対象になっているぞ? 一体なにがあるというんだ?」

RL:「鍵を握っているのは、前に話したタタラだろうね」

綾部トキ:オレは、もう調べられない。

RL:そうだな。もう一人いるけどね。

綾部トキ:オレとしては、タオを巻き込む理由はない。オレはなにも言わんぞ。「やはり後ろで糸を引いているそのタタラか……。調べないといけないな。一体、なにを求めているんだ? クソッ、イラつくぜ」

RL:「アザミはほぼ間違いなくオペレーション・ミーティアストリームのために産み出されたAIだろう」

道杓:ぽかーん、と今まで適当に二人の話を聞いていたけど、突然するすると顔色を変えて真っ青になります。「え? ど、どういうことですか!?」状況を理解できていません。

RL:「その義体、設計者はさっきから話題に出ているタタラだよ。一度目の襲撃に失敗した彼女は行き場を失い、自分が入れる義体を探していた。元々同系統の義体になら入れるという訳だよ」

綾部トキ:あれほど暴れておいて、失敗、か。そら恐ろしいものがあるな。

道杓:念のため確認したいんですが、アウトロンってどういう概念ですか?

RL:ウェブに接続していた意識を切る、もしくは体に引き戻すということだ。

道杓:なるほど。

綾部トキ:今回は義体に入っていたAIが抜けたという認識か。

RL:「The truth is the key of the future. もし彼女について知りたいのであれば、もし運命を変えたいというのであれば、その扉を開くには真実に向かう必要がある。もしキミがそうしたいというのであれば、綾部曹長と離れない方がいい、と言っておこう」と御中が杓に語りかける。

綾部トキ:「運命だって? そのAIは戦闘用AIだろ? 戦闘するしか能がないんだ、どうせ。そんなAIに運命もあるかよ」

道杓:それに反応して「そんなことはない! とりあえず、少なくともボクの元にいたアザミはそんな人間じゃなかった!」

綾部トキ:「フッ、やれやれ。やっぱり全身義体(こういうヤツら)をいじくる奴には、変わった奴が多いのかね」

道杓:「はっ、ボクからしたら軍人さんのほうこそ変人奇人そろいだと思うけどね」ふんっ。

綾部トキ:「住む世界が違うのさ」

RL:「……仲がいいね」

綾部トキ:「勘違いするな、良くはないさ」

RL:「彼女を追いたいなら、軌道へ昇ることだね」

綾部トキ:軌道だと? 「AI、か。だが少しオレとは目的が違うな。オレはそのタタラってヤツをしょっぴくだけだ。AIなんか端から興味はねぇしな」

RL:「まぁ、僕は言うことは言ったよ。あとは自分達で考えるといい」

道杓:普通の一般人が軌道に行くんだったら、どうするんですか?

RL:〈売買〉で達成値100を出して、チケットを購入するしかない。

道杓:は? 「軌道、だと……?」

綾部トキ:ま、ムチャな話だ。オレには関係ないけどな。

RL:「好きにすればいいと思うけど? ただそのためには、キミの相棒“Budy”が必要になるよ」と御中はトキに言う。

綾部トキ:バディ、ね。アンタ、どこまで知っているんだい? 全く、知っているんなら全部教えてくれたっていいじゃないか」

RL:「余計な人物が干渉しては、変えられる運命も変えられなくなる」

綾部トキ:「高みの見物ってわけかい」さて、これからどう動くかな?

RL:「また道を見失った時は言ってくれればいい。もう僕には道を指し示すしかできないからね」

綾部トキ:「その時はまた頼むよ」と言って、オレは部屋から出ていこうとする。

RL:では、御中は杓の方に、「追わないのかい?」というような視線を向ける。

道杓:「ちょ、ちょっと待ってくれよ!」と言って引き止めます。「アザミを追うのか?」

綾部トキ:「さっきも言ったはずだぜ。場合によりけりだ。オレが追うのは首謀者だ。裏で糸を引いてるタタラさ。そいつに繋がるっていうんなら、そのアザミってヤツも追うさ」

道杓:「それだったら、ボクも連れて行ってくれないか?」

綾部トキ:「なぜだ?」

道杓:「ボクはもう一度アザミに会いたいんだ。もう一度、ちゃんと話を聞いてあげたいんだ」

綾部トキ:「話を聞く? なんのことだ?」

道杓:「本当にアザミなのか、話を聞きたいんだ。アザミはそんな子じゃない!」

綾部トキ:「なるほど。しかし、いいのか? これから追おうとしてるのは、あの日本を敵に回すような輩だぜ。命の保証はない」

道杓:「ああ、かまわないさ。幸い残っている仕事だってないしね。別に今ここで死んだってかまわない!」

綾部トキ:「……そうかい。ま、死にたがりを止める義理はこちらにもないさ。わかった」とりあえず、軌道に行けばいいのか?

RL:「軌道に行くには、相棒が“Budy”が必要だって言ったろ」

綾部トキ:「ああ。だがしかし軌道のどこに行けばいいかわからん」

RL:「それは大丈夫だよ。今は足の方が大事だと思うけど」

綾部トキ:「確かにそうだな。少しかけあってみようか」和泉大佐に連絡を取る。

RL:では、三度目のコールで、和泉大佐はその通信を取った。ここでシーンを切る。









Research10  行き先
SP:綾部トキ
シーンタロット:嵐(正) 若気の至り

RL:トキの通信は和泉大佐の軍事回線に繋がる。機密回線なので、ホロはなく音声のみの回線となっている。「休暇中なのに回線を使うとは頂けないな、曹長」

綾部トキ:「大佐、N◎VAを守るのがN◎VA軍の任務でしょう? そのためにオレのローザが必要なんだ」

RL:「休暇中の隊員をN◎VA軍と認める訳にはいかないだろう。キミは何を言っているんだ。キミにはあと三日間、有給休暇の消費を命令しているはずだ」

綾部トキ:「オレは上官から一度N◎VA軍に入ったら、N◎VA軍の心得を忘れるなと教わったぜ。いつでもN◎VA軍の有益になるために動け、とな」

RL:「軍人であるならば、まずは現状を報告し、上官の指示を仰げ、とも教わらなかったのかね?」

綾部トキ:「大佐にわからないことがあるんですか?」

RL:「隠しごとをされては、軍は成り立たない」

綾部トキ:隠すことはないんだよな。N◎VA軍に言って悪いような情報はないはずだ。今までの情報を全て報告する。

RL:「なるほどな。そこまで調べたか。だが、本国の決定により、この事件は日本宇宙軍の管轄だ」

綾部トキ:「大佐、貴方はなにを言っている!?」

RL:「軍の規則は守るためにあるのだよ。今ここでキミを動かしては、N◎VA防衛に支障をきたす。それは関東方面軍第十二師団二○三連隊の損失になる」

綾部トキ:「……規律、ですか。アンタはそう言ったが、ただのお偉いさんの、組織勢力の余波がこっちに来てるんじゃないですか?」

RL:「そこまで調べてわからなかったのかね、綾部曹長? オペレーション・ミーティアストリーム――流星が落ちるのは一度だけだ。二度目の襲撃はありえない」

綾部トキ:「なぜそう言い切れる!」

RL:「当時の作戦を洗えば、この程度の状況は把握できる」

綾部トキ:そうなのか?

RL:当時の作戦内容がそうだったという話なんだ。

綾部トキ:なるほどね。「大佐だってわかっているだろう。状況は刻一刻と変わるんだ。全く同じことを相手が行うとは限らないんだ。前に起きなかったことが、今回も起こらないなんてことはないはずだ」

RL:「杞憂に莫大な戦力や資材を投げうてるほど、我が軍は裕福ではないのだよ、曹長。我々の軍事資金は、N◎VAにいる一般市民からの善処ある税金で賄われているのだ。無駄な政策をすれば、それは我々に対する反抗の心を産み出すことになる」

綾部トキ:「だからって、N◎VAが消えちまったら仕方ないでしょう!」

RL:「敵は軌道から降りてくるのだ。地上へと来る時にスクランブルすれば、十分間に合う。それとも、守りきる自身がないのかね、綾部トキ曹長?」

綾部トキ:その言葉に対して、オープニングの残骸になったウォーカー達が脳裏に浮かぶ。「意地の悪い質問ですね、大佐。オレは目の前で細切れになったウォーカーを見たんですよ。あの惨劇が地上で繰り返されるのは避けるべきだ。なんとしても! 貴方にはそれがわからないのか!?」

RL:「それが分かっているからこそ、キミのウォーカーを完全な状態に整備しているのだ」つまり、ウォーカーはいつもの場所で整備しているということだ。

綾部トキ:あ、なるほど。「どこまでも、待てってことですか?」

RL:「命令があるまではな。クグツとは、そういうものだ」

綾部トキ:「それがアンタの命令か」

RL:「その通りだ」

綾部トキ:そろそろ会話もいいだろう。「上官の命令に従うのが、規則ってわけか」通信を切り、ポケットロンをグシャ、と潰す。「そんな規則、オレが破ってやるぜ。壊してやる。全てな」

道杓:おお!

RL:さて、まだアザミを設計したタタラの居場所は判明していない。

綾部トキ:「ローザがどこにいるのかはわかった。今すぐそこに行こう」

道杓:頷きます。

綾部トキ:御中のほうを見て、「アンタは来ないんだろ?」

RL:「ああ、そうだね」と御中は答える。「正直、疲れたからね」

綾部トキ:そうかい。ここで情報収集をしておいたほうがいいよな。「じゃ、タオ。ちょっとこのDAKを借りるぜ」とあるタタラについて調べる。キー効果を使って21だ。

RL:彼の現在の研究所は軌道に存在していることが判明する。トキはアドレスを入手してくれ。

綾部トキ:DAKの前でにやりと鮫のように笑う。「捕まえたぜ」タオに向かって言おう。「目的地が決まった」

道杓:「本当か!?」と言って駆けよります。

綾部トキ:「軌道のここにあるらしい」点滅しているアドレスを指す。

RL:DAKの中で、星の海に浮かぶ島のように、一つのコロニーが点滅していた。





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